2014年10月27日月曜日

人参養栄湯|気血の衰弱に

今回は人参養栄湯(にんじんようえいとう)です。
いつものようにOTC漢方薬の効能効果を見てみますと“体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後などの体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血”とあります。
書かれていることは間違いありません。このような状態であれば人参養栄湯は何らかの効果を発揮するでしょう。ただ、これでは何故に人参養栄湯を使うのか、選択の根拠が足りませんし、なんと言ってもこの効能効果は十全大補湯のそれと全く同じです。これでは一般薬として消費者の判断で購買することは不可能です。このblogの意義もそうした問題の解決への一助になればということでもあります。


では、十全大補湯と人参養栄湯の何処が違うかですが、十全大補湯については以前にも書いているとおりです。人参養栄湯ですが、そもそもこの方剤は肺結核患者のために作られた処方です。人参養栄湯もやはり本来は末期的な病状のときに使う漢方薬です。ほとんど起床不能で横になった状態が何日も続き食欲もない病状で、その原因が慢性的な肺の疾患にある場合に使います。




現在は抗結核薬・抗生物質のおかげで肺結核で深刻な状態になることはありませんが、体力回復のために使うことは意味があると思います。ただ、実際に衰弱して栄養状態が悪くなるような場面は結核よりも、肺がんの方が現代ではあり得ると思います。肺がんでの術後や抗癌剤でのダメージからの回復には人参養栄湯は有効かと思います。
広く使われる機会がある薬ではありませんが、処方としては非常に価値のある薬だと思います。


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2014年10月13日月曜日

二陳湯:吐き気止めです

今回は二陳湯(にちんとう)です。
単純で分かりやすい処方です。吐き気止めと言ってよいでしょう。
いつものようにOTC漢方薬の効能効果を見てみると“体力中等度で、悪心、嘔吐があるものの次の諸症:悪心、嘔吐、胃部不快感、慢性胃炎、二日酔”とあります。
例によって体力云々が書いてあります。体力があることは結構なことですし、中等度ってことは‘ちょうど良い’‘健康だ’という意味になってしまうと思います。実・虚を示す指標にしたいのでしょうが、それならば‘疲れやすい疲れにくい’とか‘虚弱’とか他に適切な表現はあります。


ただ、効能効果に書き入れるのはそもそも無理があるのかと思います。効能は病名的な表現にして、注意に漢方的な‘証’に関する記述をしたほうがすっきりするように思います。
証ということで言えば二陳湯は八綱弁証で裏寒虚証と言うタイプに用います。冷えていて虚弱な疲れやすい状態に用います。
寒虚証、寒証の吐き気・嘔吐の特徴として、嘔吐する場合は食後すぐに吐くことはなく、2時間以上、ときに食事から4時間以上してから嘔吐します。
寒証というのはアトニー的、機能低下的な状態ですので、胃腸の動き自体も停滞しています。




二陳湯は長時間胃に停滞している不要な水を除き、同時に胃の動きを高めることで、吐き気・嘔吐を軽減しようという漢方薬です。単純な処方ですので、他の漢方薬との併用もし易いです。前回の人参湯と二陳湯が合わさったのが六君子湯と言う方剤です。人参湯を用いる状態で吐き気もあるということです。
水割りやハイボールのような冷たい薄めたお酒を飲み過ぎた二日酔いの時は二陳湯が有効なこともあります。


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2014年10月2日木曜日

人参湯

今回は人参湯(にんじんとう)です。
人参、白朮、乾姜、甘草の4種類の生薬で構成された処方です。基本的な方剤ですので、人参湯から派生したと考えられる処方はたくさんあります。例えば六君子湯・四君子湯、補中益気湯や参苓白朮散なども基礎骨格は人参湯であり、対応する証も同じです。
いつものようにOTC漢方薬の効能効果を見てみると“体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすいものの次の諸症:胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎”とあります。八綱弁証では裏寒虚証となります。虚弱で冷えやすい体質向けです。ただ、手足が冷えやすいと限定的にしているのはよろしくないですね。何より人参湯を用いる際に一番冷えているのはお腹です。


諸症のなかで嘔吐については、あまり効果は期待すべきではないでしょう。人参湯の主剤の人参は升性(上にあげようとする性質)がありますので、嘔吐を抑える効果はありません。そのために人参湯に茯苓・陳皮・半夏を加えた六君子湯が作られています。嘔吐・吐き気が明らかな場合は六君子湯を使われるとよいでしょう。
急・慢性胃炎ではなく急・慢性胃腸炎と書くべきでしょう。下痢・腹痛が書いてあるのに何故でしょう。





人参湯のエキス剤には白朮ではなく蒼朮が使われているものがあります。人参が主剤格で使われる場合は必ず白朮とペアで使われます。蒼朮では似たような効果はあるものの生薬の性質として異なりますので、白朮を使っているものをお選びになって下さい。(蒼朮と白朮について)


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