2013年4月29日月曜日

急な下痢を繰り返す!そんな人に桂枝加芍薬湯

今回は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)です。
一言で言えばお腹の漢方薬の代表です。
OTC薬(一般販売医薬品)の効能は“体力中等度以下で、腹部膨満感のあるものの次の諸症:しぶり腹、腹痛、下痢、便秘”となっています。
例によって体力中等度は意味不明です。
虚証用の方剤ですので、虚弱気味であり体力という表現を使うなら、体力が不足がちと言うべきでしょう。
芍薬が主剤の一つですから、腹痛にはよく効きます。
便秘よりは下痢に効きます。
ただし、ストレスからくる痙攣性の便秘には効果があります。
いわゆる過敏性大腸炎に第一選択としてつかう処方です。
過敏性大腸炎は、ストレスや緊張によって下痢や便秘を起こす病気で、
電車に乗るとトイレに行きたくなるとか、会議前になるとお腹が痛くなるといったことが習慣的に起きます。
大腸の急な緊張・痙攣による症状です。
桂枝加芍薬湯はこの症状を軽減してくれます。
メンタルな要素が大きい病気ですので、症状が起きない状態が続くことで良くなっていきます。
一度試して調子が良ければ、暫く続けることで完治も可能です。
下痢がひどい場合は朝鮮人参末や人参茶を併用すると良いです。
便秘だけの人は小建中湯のほうが良いでしょうね。

2013年4月14日日曜日

膀胱炎を頻繁に繰り返すようなら:清心蓮子飲(せいしんれんしいん)

今回は慢性膀胱炎・神経性膀胱炎についてです。
年に何度も繰り返す膀胱炎のような、トイレに頻繁に行きたくなる・尿が出にくかったり不快な症状を感じ、しかも膀胱炎と違い膀胱での雑菌の繁殖がない状態です。
膀胱炎は比較的ポピュラーな病気で、特に女性には多い病気です。
通常の膀胱炎は、膀胱内に入った菌のために炎症を起こし、頻尿や尿の出にくさ、ひどい場合は痛みや血尿を伴います。
ただ、毎年のようにかかることは希です。
年に何度も膀胱炎症状を感じる人は神経性膀胱炎を疑った方が良いでしょう。
菌がいないので抗生物質を飲んでも効果はありません。
神経の集中するデリケートな場所ですので、
ひどい膀胱炎を経験した人は、その後も気になってしまうために神経枝膀胱炎になりやすいです。
また、体質的には体が弱っていて疲れやすいのに無理をしがちな人が多いです。
気持ちと体のバランスが崩れている状態がベースにあります。
ストレスに対する体制が落ちているのも重要な要素です。
運動会の徒競走で順番が近くなるとトイレに行きたくなるのと似たような現象かもしれません。
こうした状態、症状には清心蓮子飲(せいしんれんしいん)という漢方薬がよく効きます。
OTC(一般薬)で販売しているメーカーは少ないのですが、
建林松鶴堂の清澄(せいちょう)という漢方薬が清心蓮子飲でお薦めです。

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2013年4月7日日曜日

イライラカッカに黄連解毒湯

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)ですが、
この漢方薬は病気を治すと言うよりは一時的に症状、現象を改善するものだと言えます。
単純な処方ですので、効き目は早いです。
そのかわりあくまで対症療法だと言うことです。
OTCエキス剤の効能は
“体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎”とあります。
例によって体力測定は必要ありません。
ただ、黄連解毒湯は実熱(積極的に冷やすべき熱)をとる薬ですので、体が衰弱して、発熱したり、暑がって喉の渇きを訴えるような場合は使えません。

とにかく体に余分な強い熱が発生しているのを冷ます薬です。
その熱も頭へ向かって上がってくる熱です。
イライラして頭がカッカしているのが典型的な状態です。
単純に腹の立つことがあってイライラ頭に血が上っている状態にも効果はありますが、
効能に書かれている後半部分は原因と結果が入り乱れているようです。
イライラカッカとのぼせるので鼻血が出たり、不眠症になっている。
また、のぼせているので動悸やめまいがする。
そして、胃炎、二日酔い、血の道症は原因であって、このためにイライラのぼせているのです。
*胃炎・二日酔いは胃が冷えていることもありますが、この場合は胃熱・肝熱が上逆してくる状態です。胃炎では食欲の過剰亢進があり、この二日酔いは強い酒を飲んで、まだ酔っ払っているような二日酔いです。

意外とよく効くのが皮膚の症状です。
基本的には頭、顔を中心に上半身だけの赤みの強い湿疹・皮膚炎で、痒みを抑えてくれます。

積極的に熱を冷ますお薬ですので、食欲のない人、寒がりの人は飲まないで下さい。



2013年4月2日火曜日

酸棗仁湯:心が疲れて眠れないのなら

今回は酸棗仁湯(さんそうにんとう)です。
不眠症によく使われる漢方薬です。
OTCエキス剤の効能書きは大体こんな感じです
“体力中等度以下で,心身が疲れ,精神不安,不眠などがあるものの次の諸症:不眠症,神経症”
ほぼこの通りで良いでしょう。
心身の衰弱によって起きた不眠ですから、どちらかと言えば普段から体の弱い神経質な人に向いています。
心配事や考え事が多いと陰血、肝血という体を滋養する栄養分のようなものが減っていくと漢方では考えています。
心身が潤っていない状態になると考えても良いかもしれません。
酸棗仁湯は、そんな背景のある不眠症に効果があります。
具体的には口や喉が渇きやすかったり、めまい・頭のふらつき、動悸がしたり、イライラとじっとしていられなかったりと言った状態になります。

いろいろ悩みが多くて眠れない方にはお薦めな漢方薬です。
ただし、下痢・軟便が顕著な人は飲まないで下さい。