2014年4月21日月曜日

大柴胡湯=他の処方と組み合わせるのが効果的

今回は大柴胡湯(だいさいことう)です。
単独での使用機会は少ない漢方薬かもしれませんが、基本的な方剤ですので応用範囲が広く、他の処方と組み合わせることでより効果的な使い方ができるのが大柴胡湯です。
まずいつものようにOTC薬の効能効果を見てみると“体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの次の諸症:胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症”とあります。毎度のことですが体力云々の表現は適切ではありません。大柴胡湯は薬効の方向性がはっきりしているので、適している人の見た目の特徴もはっきりします。ガッシリした体型で肥満傾向のある人に向いています。痩せているだけで大柴胡湯は向かないと判断してよいです。しかし、体力の充実と体型は比例するものではありませんよね。これではマラソン選手は体力がないことになってしまいます。

さて、本題に戻して“体力の充実・・・”の体質的な前提の部分は“疲れにくく食欲が旺盛で便秘がちなものの次の諸症:”と言ったところで良いと思います。熱実証という体質です。
“脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく”の部分は特異的な目安にはならないので無視してよいです。具体的な症状としては“胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症”この全てに効果はあると思います。ただ、大柴胡湯単独で用いてどの程度かなという点です。胃炎は急性胃炎で食欲はあるのに吐き気が強く、痛みとむかつきがある状態です。五苓散との併用も嘔吐には有効です。ただ、このタイプはどちらかと言うとガスターみたいなものを飲んだほうが速いです。
便秘には効果がありますが、そのためだけに飲むべき処方ではないです。他の場所に作用しすぎてしまいます。基礎疾患として胆嚢炎や胆石、膵臓炎、肝炎などがある場合にはちょうど良い薬ですね。胆嚢炎の場合は桂枝茯苓丸・桃核承気湯などの駆瘀血剤と併用するとよいでしょう。膵臓炎は、糖尿病もそうですが、六味丸と併用します。肝臓疾患で効果があるのは主に脂肪肝でしょうか、高血圧関係の症状も含めて肥満に原因のほとんどが有りますので、とくに食欲が過剰で、実際に大食で、いわゆるメタボ体型なのに疲れずよく働ける人は大柴胡湯でピッタリです。
よく言われる防風通聖散よりも大柴胡湯のほうが長期服用の心配は少ないです。
ただ、あくまで疲れにくく食欲旺盛でガッシリした便秘がちの人である事が前提です。

2014年4月14日月曜日

越婢加朮湯:急性の時だけですよ

今回は越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)です。
そんなに使われる機会が多い漢方薬ではないと思いますが、急性的はむくみや関節痛には早い効果があります。ただそれなりの注意も必要な処方です。
まずはいつものようにOTC薬の効能効果を見てみますと“体力中等度以上で、むくみがあり、のどが渇き、汗が出て、ときに尿量が減少するものの次の諸症:むくみ、関節のはれや痛み、関節炎、湿疹・皮膚炎、夜尿症、目のかゆみ・痛み”とあります。
例によって体力云々はいただけません。中等度ってどのくらいでしょうね・・・?
さて、この越婢加朮湯は疲れにくく普段から体が丈夫な人にだけ使います。疲れやすい。疲れているというだけで飲むべきではないと言えます。
薬の作用としては、余分な水分を取り除く働きです。不要な水が体に溜まっている。それが浮腫みです。関節に貯まれば腫れ・痛みが起きます。ここで大事なのは余分な水分を貯めこんでいるのか、上手く排泄できないために不要な水が残ってしまっているのかです。
前者であれば積極的に水を出してあげれば良いし、後者の場合はきちんと不要な水を出せるように元気づけてあげなければいけません。越婢加朮湯を用いるのは前者です。
積極的に水を出す、つまりそれなりに強い性質を持った生薬を使っています。
もう一度、効能効果に戻りますと、むくみがあり尿量が減少。水が出て行かないということです。のどが渇き、この越婢加朮湯は体を冷やす漢方薬です。喉が渇きやすく暑がりであることもこの処方を用いる条件になります。
汗が出て、なんでこんなこと書いているんでしょう?汗は関係ないですし、どちらかと言ったら汗が出にくいはずです。原典を読み違えているんでしょうね。
対象症状のむくみ、関節の腫れや痛み、関節炎、湿疹・皮膚炎、夜尿症、目のかゆみ・痛みはこれで良いと思いますが、湿疹・皮膚炎は何でしょうか?蕁麻疹のようなたぐいでしょうね。

越婢加朮湯を飲む上での注意点は、まず普段から体が丈夫で疲れにくく暑がりであることです。それからもう一つ注意がありまして、この方剤は効き目は速いです。飲み始めてすぐ効果があるはずです。『使用上の注意』に1ヶ月以上服用しても良くならない時は医師、薬剤師に相談するとなっていますが、1ヶ月は長すぎです。もしこの薬が向かない、疲れやすい、あるいは冷えやすい人が1ヶ月も飲んでしまったら、体調はかなり悪くなり胃も痛むようになるかもしれません。3日飲んで何も変わらなければ向かないと思ってよいでしょう。
前述の丈夫で暑がりの人のむくみ・関節痛には非常によく効く薬です。タイプの合っている人は試してみてください。早い結果が出るはずです。

風邪で越婢加朮湯を使いたいという問い合わせを頂くことがありますので少し付け足します。越婢加朮湯は、越婢湯に朮を加えたものです(この朮については本来は蒼朮であるべきです)。越婢湯は風邪やインフルエンザに使われる麻黄湯の熱証版とも言えます。風邪のひき始めで、悪寒はなく熱感や喉の渇き、ほてりが強い時に用います。蒼朮が加わりますので、水分代謝異常の症状、つまり鼻水などの症状を伴います。ただ、現実的には使用機会は少ないかもしれません。