2013年10月1日火曜日

漢方薬の風邪薬:麻黄附子細辛湯

今回は風邪の漢方薬麻黄附子細辛湯です。
早速、効果効能ですが“悪寒、微熱、低血圧で頭痛、めまいあり、四肢に疼痛、冷感あるもの。感冒、気管支炎、咳嗽”とあります。
悪寒、微熱、四肢に疼痛、冷感。ここが大事です!
このお薬は冷えによって引いた風邪、つまり寒い風邪、冬に多い風邪、寒証の風邪です。
悪寒・寒気が強いのが寒い風邪の特徴です。そして手足、節々の痛みもあります。
強い寒気と四肢の痛み、これだけだと葛根湯とどう違うの?
もっとも違うのが微熱。
葛根湯は急激に上がっていく熱、あるいはすでに高くなってしまった発熱に使います。言い換えると高熱が出せるほど元気な人に使うのが葛根湯なのです。
一方、麻黄附子細辛湯は、もともと体の深部が冷えている人が、更に寒い風邪を引いてしまった場合です。
悪寒はひどいけど高熱にはならない。ここが使い分けのポイントです。
もともと何処が冷えているかというと、腎ですね。腎陽虚、平たく言えば老人に多い状態です。めまいも腎虚の特徴です。低血圧は意味不明です。



まとめると、普段から冷えているお年寄り、またはお年寄りのよう冷えてる人が寒さにあたって風邪を引き、ひどい寒気のわりには熱はそれほど上がらず、手足が冷え痛んで、咳も出たりする。そんなときに麻黄附子細辛湯を飲むと良くなります。
それから麻黄附子細辛湯は喉の痛みにも効果があります。ただ、この場合は必ずお湯に溶かしてゆっくり飲んでください。細辛の麻酔作用が喉の痛みを止めてくれます。

2013年9月25日水曜日

女神散:喜谷實母散

今回は女神散(にょしんさん)です。医療用では時々使われますがOTCでは女神散の名前での販売はされていないかと思います。
ですが、喜谷實母散(きたにじつぼさん)の名で古くから振り出し、煎じ薬として販売されています。
効能効果は“更年期障害、血の道症、月経不順、冷え症およびそれらに随伴する次の諸症状: 月経痛、腰痛、頭痛、のぼせ、肩こり、めまい、動悸、息切れ、手足のしびれ、こしけ、血色不良、便秘、むくみ”となっています。
だいたいこの通りに思ってもらって良いんですが、冷え性は前提にはならないですね。
あくまで肝虚から来るのぼせ、熱症状の相反として感じる足の冷えがある程度です。



この薬の効果はイライラ・のぼせ体質の方の不定愁訴の解消です。
漢方的に言えば。肝気鬱結か肝陽上亢といった状態ですが、
精神ストレス、女性特有のストレスでイライラ・のぼせ体質に陥った人の生理痛やら頭痛・めまい・動悸などに効果があります。

このお薬は飲み方が特殊なので、用法をよく読んでください。
振り出しだけで飲んでる方も見受けますが、効果も薄いですから、
必ず煎じて(煮出して)飲んでください。
1回目から煎じて飲んでも良いです。
その場合は、1回めの煎じ液を夜飲んで、
煎じかすを翌朝もう一度煎じて飲めばよいです。

2013年9月16日月曜日

猪苓湯:膀胱炎の漢方薬

今回は猪苓湯(ちょれいとう)です。
いつものように効能を見てみると“体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの次の諸症:排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみ”とあります。
それほど使い方が難しいお薬ではないのでこれで良いのかもしれませんが、“体力に関わらず使用でき”この前置きは意味ないでしょ!あえて言うなら極端に体力が落ちている人には使えません。
猪苓湯は(チョレイ・ブクリョウ・タクシャ・アキョウ・カッセキ)の5種類の生薬で出来ています。このうちアキョウ以外は全て水を出す、尿を出す働きをします。アキョウには止血の効果があります。
つまり簡単に言ってしまえば、尿が出づらくなっている時、あるいは尿を出さなければならないときで、血尿を伴っていても大丈夫と言うことです。
まさに膀胱炎の症状です。尿が出づらかったり、すぐにトイレに行きたくなったり、血尿もあったりと言った症状です。
膀胱炎かなと思ったら、極端な体力低下がない、強い冷えを感じていない限りは試してみて下さい。
一点だけ注意は、カッセキを配合していますので長期連用はしません。予防にと思って続けてしまうと腎臓を傷めることがあります。急性膀胱炎に1週間程度をめどに使うお薬だと思って下さい。

2013年9月8日日曜日

耳鳴丸=名前のとおりです!

今回は耳鳴丸(じめいがん)です。
名前の通り耳鳴りのお薬です。
効能も“貧血性の耳鳴、腰痛、四肢及び腰の脱力感”と簡潔な書き方ですが、
漢方・中医学の臓腑弁証で言う肝腎陰虚という状態で用いるお薬です。
肝腎陰虚とは、五臓のうち肝と呼ばれるところと腎と呼ばれるところが衰弱している状態のことで、原因としては加齢やストレスということになるでしょう。
肝腎陰虚になると、口や喉の渇き・身体の熱感・ほてり・のぼせなどを感じるようになり、さらに足腰のだるさや無力感・手足のほてり・ふらつきなども感じるようになります。

耳鳴丸はこうした状態の人に起きた耳鳴りに効果があります。
OTCの効能書きそのままだと貧血の人の耳鳴り、腰痛、足腰の脱力のための薬になってしまいます。
貧血は必須の条件ではないですし、腰痛・四肢及び腰の脱力感を治すのであれば他の薬のほうが良いでしょうね。
“腰痛・四肢及び腰の脱力感があり口や喉の渇き・身体の熱感・ほてり・のぼせなどを伴うの耳鳴り”というのが正しい効能でしょう。
ちなみに販売しているのは松浦漢方株式会社だけのようです。


2013年9月3日火曜日

ドキドキに柴胡加竜骨牡蛎湯

今回は柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)です。
メンタル系の症状によく使われる処方ですが、もともとは風邪や伝染性の発熱性疾患の治療を誤り長引かせ自律神経に異常をきたしたような症状に使われていました。
現在では不眠は情緒不安などに用いることがほとんどです。
いつものように効能を見てみると“体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘”
体力中等度ですか・・・例によって意味不明どころか虚証用の方剤ですから体力低下あるいは消耗状態に使います。
効能にある病名、症状は大体これで良いんですが、便秘を目的に使うことはないでしょう。高血圧である必要もないです。
“精神不安・動悸・不眠・神経症・更年期障害・小児夜泣き”ってところで良いでしょう。


体質的な前提を加えると、
熱虚証用の方剤ですので、「喉の渇き、ほてり、のぼせなどを感じることがあり、暑がりで食欲はあり、どちらかと言うと便秘がちでイライラしやすく気が散りやすい人の不安・不眠・動悸・神経症・更年期障害・自律神経失調症」ということになります。
竜骨と牡蛎は、重鎮安神薬と言われ、気持ちを落ち着かせる働きがあります。
落ち着かせると言ってもお酒や精神安定剤のように意識レベルを落とすということではありません。
ちょうど散らかっている部屋を片付けるようなもので、あちこちにあるものを一箇所にまとめる。あるべきところに戻すという感じです。
あれやこれや余計なことに気が散ったり、つぎつぎ色んな事が頭に浮かんで落ち着かないといった状態のときに、気持ちを一つにまとめてくれる働きです
いろいろ考えてしまって眠れない等という時もこれに当たるでしょう。
飲んではいけないのは、寒証の人です。
冷えを感じたり寒がりの人は飲まないでください。具合悪くなります。
それから何年間も続けて飲む処方ではありません。
数週間か数ヶ月で改善されるはずです。それで効かなければ他の処方を考えましょう。
また、あっているからと言って漫然と続けないようにしてください。

2013年8月25日日曜日

婦人科疾患の基本は四物湯

今回は四物湯(しもつとう)です。
いつものようにOTC薬の効能を見てみると
“体力虚弱で、冷え性で皮膚が乾燥、色つやの悪い体質で胃腸障害のないものの次の諸症:月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症、冷え症、しもやけ、しみ、貧血、産後あるいは流産後の疲労回復”とあります。
ほぼその通りです。ですが、実際にこうした症状に四物湯を用いてもそれほど効かないというか、多くの場合、時間の無駄です。
四物湯が悪いんではなくて、四物湯は素晴らしい処方です。
ただ、これは始まりなんです。土台なんですね!


四物湯がしているのは“血を増やす”、それも肝血という非常に大事な血を増やすことだけです。肝血の不足で起きる症状は効能のとおりです。付け足すなら眼のかすみ・乾燥、めまい・ふらつきや、脱毛などです。
四物湯で原因・本質は改善されます。
しかし、症状の直接的な改善ができないので、
目的に合わせて四物湯+〇〇湯という形で用いると良いです。
例えば生理不順で、遅れがちということであれば四物湯と補気・補陽作用のある人参湯や吐き気など胃腸症状を伴えば六君子湯を用いたり。
逆に経血量が少なく生理が早まるのであれば、気の巡りを良くしてイライラをなくす抑肝散を一緒に用いたりします。
この辺りはなかなか一般の方が判断するのは難しいかと思いますので、店頭やネットで専門家に相談すると良いでしょう。

2013年7月29日月曜日

不安で眠れないなら天王補心丸(正式名:天王補心丹)

天王補心丸(てんのうほしんがん)、正式な処方名は天王補心丹(てんのうほしんたん)です。
国内で2、3社が販売していますが、天王補心丸の名前で販売しています。
効能効果には“体質虚弱な人の次の症状:不眠、不安感、肩こり、息切れ、動悸、口渇、便秘”とあります。
だいたい合っていますが、これでは何の薬か分かりにくいかもしれません。
簡単に言うと不安や焦燥感があり動悸もしやすい人の睡眠障害のお薬です。
そして、陰虚という体の偏りが根本にありますので、手や足が火照ったり、のどが渇いたり、寝汗をかきやすかったりします。
陰虚の中でも心陰虚という状態で、五臓の中の心(しん)が消耗・衰弱している事によって症状が起きています。

心陰虚の原因はストレスであったり生活習慣であったり、慢性的な病気だったりします。
心と心陰虚については別サイトでも解説しています。
  ・心の働き
  ・心血虚と心陰虚
天王補心丸が向いている不眠は、
寝付きが悪い・眠りが浅い・よく目が覚める・夢が多いと言ったタイプですので、
深い睡眠がなく、一晩中眠っているのか眠っていないのか分からないような不眠です。
天王補心丸のような滋養安神剤は、衰弱した心を滋養して、陰陽バランス(自律神経のバランスといっても良いかもしれません)を整えて精神を落ち着かせ眠れるようにしてくれます。
一時的ではなく、長期間続いている不眠に向いているでしょう。


2013年7月23日火曜日

熱中症の漢方薬:生脈散

今年は梅雨明けが早く、連日の猛暑が続いています。
この季節、特に心配なのが熱中症ですね。
熱中症は体内の熱がこもってしまい、身体の調整機能が失調することによって起きます。
この季節の不要な体内の熱は汗によって体の外へ放出されます。
この時重要なのは、水です。
漢方では人間の体内にある水を二つに分けて考えます。
一つは津(しん)、体にとって必要な大切な水です。
もう一つは液(えき)、これは基本的には不要になった排出される水。
あるいは体内で悪さをしている水(水毒)です。
汗は基本的には液です。
ところが、あまりに暑いと捨てるべき液が不足し、津までが排出されてしまいます。
傷津あるいは津液不足という状態です。


この時、単に水分を補給すれば良いというわけではありません。
むやみに水分補給すれば液ばかりが増えてしまい、相対的に津が不足してしまうことで不調になることもあります。
不要な液を増やすことなく津を増やす事が大切です。津を増やす事を生津と言います。
この生津を目的とした漢方処方が生脈散、あるいは生脈宝と呼ばれる薬です。
熱中症を気にして必要以上に水分を摂ると食欲がなくなり、かえって夏バテになります。
暑い場所での作業、スポーツをする人や、熱中症を心配する人は水分補給と一緒に生脈散を飲まれると良いでしょう。

2013年7月16日火曜日

抑肝散:もともとは子供の薬だよ

抑肝散(よっかんさん)です。
一般薬(OTC」の効能を見ると、
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
これは特に気になるところはないです。
この通りというか、これ以外の使われ方をしていることのほうが気になります。
まず、抑肝散を用いる状態は肝陰虚という状態です。
肝は精神的な問題を処理しているところと考えています。
陰虚ですから、肝の働きよりも肝そのものが衰弱している状態を指します。
“口や喉の渇き・身体の熱感・ほてり・のぼせ・ねあせ”と言ったことが特徴です。
つまり、まったく冷えていない、冷えを感じない体質であることが重要です。

肝が弱っているために、相対的にイライラしたり、落ち着かないといったことが起きます。
まだ身体が完成していない子供では、肝も未熟です。
そのために疳の虫、夜泣きといったことが起こります。
本来はそのためのお薬でした。
ですが、肝陰虚の状態であれば大人でも、イライラや不眠に効果があります。
まとめると、“抑肝散が向いているのは、全く冷えを感じない、冷え性ではない人で、
不眠症でも寝てしまえば途中で起きることはあまりなく、
疲れやすく虚弱な方だけど、足腰がだるいといったことはない。
イライラ感も周りに当たるような激しいものではない。”
こんなところでしょうか。
それから、抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)と言う処方がありますが、抑肝散に小半夏湯を足したものです。吐き気や胃の不快感を伴う場合に使います。
そうでなければ、基本的に構成生薬が少ないほうが良く効きますので抑肝散を求めたほうが良いでしょう。
それから、アルツハイマー症に良いと時折話題になりますが、漢方的、中医学的に根拠は見いだせません。このことはまた別のところに書きます。

2013年7月2日火曜日

何かと誤解の多い“防風通聖散”

お待たせしました今回は防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。
おそらくOTCの漢方薬では一、二を争う売上を誇ってきたと思われる処方です。
誤った使われ方も非常に多い処方です。
メタボの薬という捉え方は間違っていません。ただ、メタボなら誰でもという訳でもありません。
某メーカーの責任が大きいと思いますが、この薬は便秘薬ではありません。市場の大きい便秘薬であるかのようなイメージで宣伝されていたのは驚きでした。
便秘薬として漫然と続けている人がいたら即座にやめてください。どなたでも長期間の服用に耐えられる薬ではありません。
さて、効能ですが、
“体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症”
例によってまた体力・・・から始まっています。
体力が充実していれば結構なことです。
まぁ今回は大目に見て、疲れやすいとか、弱っているという事がないということで理解してあげましょう。
太っていること以外は特に異常を感じていなくていいです。
下痢症の人でなければ構いません。
食欲だけは異常にあるはずです。
平たく言えば元気なおデブさんを痩せやすくしてくれるお薬です。
高血圧や肥満に伴う・・・・・・便秘、は無視していいですね。動悸がするほどの高血圧、肥満だったら病院行ってください!

太るか痩せるかは、食べた量と運動量(代謝)のバランスです。
食べる量を減らすことは何より重要です。
しかし、人一倍食欲のあるこのタイプの人達が食べる量を減らすのは大変です。
同時にエネルギーを消費することも考えたほうがいいでしょう。
ここで、脂肪とは何かということです。
化学のお好きな方なら脂肪を燃やせば何になるかはご存知かと思います。
脂肪は炭素(C)と水素(H)と酸素が少々でできています。
脂肪が燃えるということは、
C-H+O=CO2、H2O
二酸化炭素と水になるということです。


食欲が減り、脂肪の燃焼が早まれば痩せます。
防風通聖散が行なっているのはまさにここのところです。
食欲旺盛な過剰な胃腸の働きを、冷やすことで抑えます。
(食欲が無い人が防風通聖散を飲むと胃腸を壊します)
脂肪の燃焼を助けるために二酸化炭素と水の排泄を助けます。
そのために汗をかきやすくし、尿を出しやすくします。

まとめると防風通聖散には、食欲が旺盛で、余り運動しないで太ってしまっている元気な人の、
胃腸を冷やして食欲をなくし、脂肪代謝によって生じる二酸化炭素と水の排泄をスムーズにする働きがあります。




2013年6月25日火曜日

半夏厚朴湯:もともとは咳の薬だけどね

今回は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。

いつものようにOTC薬の効果・効能をみてみると、
“体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感”とあります。
例によって体力検査は必要ありません。と言うよりこの処方の場合は、余り気にしないで良いです。
虚証向けではありますが、短期間であれば実証の人が飲んでも大丈夫ですし、効果もあるはずです。


この薬の効果を一言で言えば、“詰まっているものを下へ降ろす”ことです。
詰まっているのは“気”の流れであり、気の滞りで生じた痰湿の逆行です。
気の流れがスムーズであることで、精神も安定します。
半夏厚朴湯は、喉から胸のあたりの気の流れをスムーズにしてくれます。
不安感やうつ的な症状をスッキリさせてくれます。
また実際には何もないのに、喉に詰まった感じ、異物感がいつまでもあるといった症状(梅核気)も神経性の症状であり、半夏厚朴湯で気の流れを正すことで治ります。効果も早いです。
気管支炎や喘息の薬としても効果があります。
軽い咳や痰が続く場合に向いています。


基本的には効能・効果に書かれている通りの使い方で良いのですが、
一点だけ重要な問題があります。
吐き気や嘔吐にも効果はあります。
ですが、つわりには使いません。
厳密に言うと妊婦及び妊娠の可能性のある人には使えません。
この処方は下へ降ろす効果を持つ薬です。
主に含まれている厚朴の影響ですが、強くはありませんが堕胎作用、または妊娠しづらくする作用があります。
このことは医療用も含めて添付文書に記載されていません。
女性の方が服用する場合は注意してください。

2013年6月18日火曜日

とりあえず偏頭痛には呉茱萸湯

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)です。
OTC薬の効能は
“みぞおちが膨満して手足が冷えるものの次の諸症:頭痛、頭痛に伴うはきけ、しゃっくり”
とあり、かなりあっさりしています。間違いはありません。
ただ、どこが冷えているかが重要です。
手足の冷えって・・・
確かに手足も冷えるでしょうけど、
呉茱萸湯の一番の目標になるのは“胃の冷え”です。
胃寒です。
呉茱萸湯は胃寒を治す薬です。
胃が冷えると何が起きるか、
まず、人間どこの部位も冷えていると動かない。
胃が冷えていれば、食欲が無くなる、胃が動かないから食べたものが消化されないので胃が痞える、張る、そして吐き気がする。*冷えているので食べてすぐ吐くことはない
こうした症状が起きます。
同じ人参湯からの派生方剤でも六君子湯なんかよりも、もう一段胃が冷えています。




胃の冷えを人為的に起こすことができます。 
かき氷や、アイスなど冷たいものを一気に食べると、キーンと頭が痛くなります。
呉茱萸湯が効く頭痛はこれが、慢性的、体質的に起きたものです。

偏頭痛は頭部の血管が拡がることによっておきます。
胃が冷えると脳を守ろうとして頭部へ向かう血流量を増やそうとする反射が人体にはあるのかもしれません。
経験的にも、呉茱萸湯が効く頭痛は緊張型ではなく偏頭痛ですね。
普通の鎮痛剤が効かない、偏頭痛と思われる頭痛を起こす方は、
呉茱萸湯を試してみると良いでしょう。
比較的効きは早いかな・・・
それから。。。味は最悪ですw


秀峰堂中医学研究所

2013年6月2日日曜日

あれこれ思って落ち着かないなら桂枝加竜骨牡蛎湯

今回は桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)です。
いつものように効能書きをみてみると、“体力中等度以下で、疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの次の諸症:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症”
また体力中等度などという客観的には捉えようのない表現が使われています。早く改善してほしいものです。
虚証用の方剤でもあり、虚弱な人にしかむかない処方です。元気で活動的な人が眠れないとしても効きません。
処方名からも判るように桂枝湯(正確には桂枝加芍薬湯)に竜骨と牡蛎を加えた方剤です。
残念ながら竜は実在しませんので、竜骨は竜の骨ではなく牛や鹿などの哺乳動物の骨の化石です。牡蛎は、そのまま牡蠣(かき)の貝殻です。
カルシウムの鎮静作用は広く知られていますが、竜骨と牡蛎は重鎮安神薬と呼ばれ、精神を鎮め安んじる働きを持ちます。
しかし、精神安定剤のようにボンヤリさせ眠くさせるのとは違います。
イメージとしては、あちこちに散らばっているものを一箇所にまとめる働き、
あれこれと思い、いろいろなことを考えてしまい集中できないでいる状態を、その時にあるべき状態に精神をまとめてくれる働きをします。
眠れないという状態は、あれこれと頭に浮かび眠ることに集中できない状態です。
あれこれ気が散って落ち着かない状態もそうです。

まとめてみますと、桂枝加竜骨牡蛎湯は虚弱で疲れやすい寒がりな人の、あれこれ考えて落ち着かず、ちょっとイライラしたりビクビクしてしまう時や、いろんなことが頭に浮かび眠ることができないといった症状を改善してくれます。


秀峰堂中医学研究所

2013年5月15日水曜日

痒くなる季節だけど・・・人には言えない

暑い季節になると、痒い!
でも、人前では絶対に掻けない...
そんな男性の悩みに・・・

不養湯(ふようとう)という珍しい漢方薬があります。
建林松鶴堂(たてばやししょうかくどう)という東京上野の老舗漢方メーカーのオリジナル処方です。


効能は陰部湿疹のみです。
陰部湿疹は別名いんきん(インキン)、
いんきんたむし(インキンタムシ)は別物ですのでご注意ください!
陰部湿疹いんきんは名前の通り湿疹ですので、赤いぶつぶつが出来たり、一様に赤く痒いです。
陰嚢にもできます。
インキンタムシは水虫の原因である白癬菌が関係しています。
陰嚢にはできず、太ももの側へ丸く輪郭を描くように広がっていきます。
抗白癬菌薬の外用が必要になります。

皮膚病の漢方薬は発散剤と炎症を鎮める作用を持つ生薬を中心に作られます。
不養湯もそうです。そこに薬効が股間に集中するように工夫されています。
それから不養湯は煎じ薬になっています。
煮だして飲む本来の漢方薬の形です。
パッケージのままでも結構臭います。

これからの季節、お困りの方は試してみてください。

建林松鶴堂不養湯

2013年4月29日月曜日

急な下痢を繰り返す!そんな人に桂枝加芍薬湯

今回は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)です。
一言で言えばお腹の漢方薬の代表です。
OTC薬(一般販売医薬品)の効能は“体力中等度以下で、腹部膨満感のあるものの次の諸症:しぶり腹、腹痛、下痢、便秘”となっています。
例によって体力中等度は意味不明です。
虚証用の方剤ですので、虚弱気味であり体力という表現を使うなら、体力が不足がちと言うべきでしょう。
芍薬が主剤の一つですから、腹痛にはよく効きます。
便秘よりは下痢に効きます。
ただし、ストレスからくる痙攣性の便秘には効果があります。
いわゆる過敏性大腸炎に第一選択としてつかう処方です。
過敏性大腸炎は、ストレスや緊張によって下痢や便秘を起こす病気で、
電車に乗るとトイレに行きたくなるとか、会議前になるとお腹が痛くなるといったことが習慣的に起きます。
大腸の急な緊張・痙攣による症状です。
桂枝加芍薬湯はこの症状を軽減してくれます。
メンタルな要素が大きい病気ですので、症状が起きない状態が続くことで良くなっていきます。
一度試して調子が良ければ、暫く続けることで完治も可能です。
下痢がひどい場合は朝鮮人参末や人参茶を併用すると良いです。
便秘だけの人は小建中湯のほうが良いでしょうね。

2013年4月14日日曜日

膀胱炎を頻繁に繰り返すようなら:清心蓮子飲(せいしんれんしいん)

今回は慢性膀胱炎・神経性膀胱炎についてです。
年に何度も繰り返す膀胱炎のような、トイレに頻繁に行きたくなる・尿が出にくかったり不快な症状を感じ、しかも膀胱炎と違い膀胱での雑菌の繁殖がない状態です。
膀胱炎は比較的ポピュラーな病気で、特に女性には多い病気です。
通常の膀胱炎は、膀胱内に入った菌のために炎症を起こし、頻尿や尿の出にくさ、ひどい場合は痛みや血尿を伴います。
ただ、毎年のようにかかることは希です。
年に何度も膀胱炎症状を感じる人は神経性膀胱炎を疑った方が良いでしょう。
菌がいないので抗生物質を飲んでも効果はありません。
神経の集中するデリケートな場所ですので、
ひどい膀胱炎を経験した人は、その後も気になってしまうために神経枝膀胱炎になりやすいです。
また、体質的には体が弱っていて疲れやすいのに無理をしがちな人が多いです。
気持ちと体のバランスが崩れている状態がベースにあります。
ストレスに対する体制が落ちているのも重要な要素です。
運動会の徒競走で順番が近くなるとトイレに行きたくなるのと似たような現象かもしれません。
こうした状態、症状には清心蓮子飲(せいしんれんしいん)という漢方薬がよく効きます。
OTC(一般薬)で販売しているメーカーは少ないのですが、
建林松鶴堂の清澄(せいちょう)という漢方薬が清心蓮子飲でお薦めです。

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2013年4月7日日曜日

イライラカッカに黄連解毒湯

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)ですが、
この漢方薬は病気を治すと言うよりは一時的に症状、現象を改善するものだと言えます。
単純な処方ですので、効き目は早いです。
そのかわりあくまで対症療法だと言うことです。
OTCエキス剤の効能は
“体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎”とあります。
例によって体力測定は必要ありません。
ただ、黄連解毒湯は実熱(積極的に冷やすべき熱)をとる薬ですので、体が衰弱して、発熱したり、暑がって喉の渇きを訴えるような場合は使えません。

とにかく体に余分な強い熱が発生しているのを冷ます薬です。
その熱も頭へ向かって上がってくる熱です。
イライラして頭がカッカしているのが典型的な状態です。
単純に腹の立つことがあってイライラ頭に血が上っている状態にも効果はありますが、
効能に書かれている後半部分は原因と結果が入り乱れているようです。
イライラカッカとのぼせるので鼻血が出たり、不眠症になっている。
また、のぼせているので動悸やめまいがする。
そして、胃炎、二日酔い、血の道症は原因であって、このためにイライラのぼせているのです。
*胃炎・二日酔いは胃が冷えていることもありますが、この場合は胃熱・肝熱が上逆してくる状態です。胃炎では食欲の過剰亢進があり、この二日酔いは強い酒を飲んで、まだ酔っ払っているような二日酔いです。

意外とよく効くのが皮膚の症状です。
基本的には頭、顔を中心に上半身だけの赤みの強い湿疹・皮膚炎で、痒みを抑えてくれます。

積極的に熱を冷ますお薬ですので、食欲のない人、寒がりの人は飲まないで下さい。



2013年4月2日火曜日

酸棗仁湯:心が疲れて眠れないのなら

今回は酸棗仁湯(さんそうにんとう)です。
不眠症によく使われる漢方薬です。
OTCエキス剤の効能書きは大体こんな感じです
“体力中等度以下で,心身が疲れ,精神不安,不眠などがあるものの次の諸症:不眠症,神経症”
ほぼこの通りで良いでしょう。
心身の衰弱によって起きた不眠ですから、どちらかと言えば普段から体の弱い神経質な人に向いています。
心配事や考え事が多いと陰血、肝血という体を滋養する栄養分のようなものが減っていくと漢方では考えています。
心身が潤っていない状態になると考えても良いかもしれません。
酸棗仁湯は、そんな背景のある不眠症に効果があります。
具体的には口や喉が渇きやすかったり、めまい・頭のふらつき、動悸がしたり、イライラとじっとしていられなかったりと言った状態になります。

いろいろ悩みが多くて眠れない方にはお薦めな漢方薬です。
ただし、下痢・軟便が顕著な人は飲まないで下さい。

2013年3月31日日曜日

茵陳蒿湯

今回は茵陳蒿湯(いんちんこうとう)です。
清熱剤だけで出来た単純な処方ですので、
いろいろ応用的に使う事も出来るのですが、
一般の方がご自身の判断で飲む場合(いわゆるセルフメディケーション)で考えると、
蕁麻疹の薬と言うべきでしょう。
OTCの茵陳蒿湯エキス剤の効能には
“口渇があり、尿量少なく、便秘するものの次の諸症:じんましん、口内炎”とあります。
だいたい良いんですが、実熱(冷やすべき熱)を取るための漢方薬ですから、
口渇とともに、食欲があり暑がりでもあり、尿量が少ないよりも尿が濃い色になります。
必ず便秘でなくてはなりません。下痢、下痢がちの人は飲んではいけません。
簡単にまとめてしまうと、暑がりの人の蕁麻疹を治す薬と言うことになります。
急性・慢性問わず蕁麻疹に使えますが、長期の服用は注意して下さい。


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2013年3月24日日曜日

温清飲:治りにくい湿疹に

このブログは漢方エキス剤の正しい使い方を紹介しています。
今回は温清飲(うんせいいん)です。

またいつものように商品パッケージ、注意書きの効能から見てみましょう。
“体力中等度で、皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの次の諸症:月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎”
また例によって体力中等度?
体力測定している場合じゃないです。

この温清飲は大きく分けると、血を作る成分と熱を取る成分の二つで出来ています。
皮膚がカサカサ・色つやが悪い、これは漢方で言う“血虚”、つまり血が量的に質的に少ない事による症状です。のぼせる。余分な熱、不要な熱がある状態です。
この余分な熱には、積極的に冷やして良い場合とそうでない場合があります。
積極的に冷やしてはいけない熱は、身体の消耗がひどく心身のバランスが崩れているような場合です。
温清飲は積極的に冷やす薬ですので、あまり身体が弱っている人は飲めません
熱というのは言い換えれば炎症と捉えられます。

まとめてしまうと、温清飲は血液に不足、貧血が根本にあって、炎症性の症状が身体の表面あるいは上部に表れている症状を改善、治療してくれます。
効能に“月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎”とありますが、月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症は温清飲がファーストチョイスになることは一般的にはあり得ません。

湿疹・皮膚炎の薬だと思って下さい。
皮膚の色悪い、あるいはカサカサとひび割れて血がにじむような、慢性、または慢性化しつつあるような湿疹の薬です。
アトピーのような場合にも向いている状態があります。

※飲んでいけないのは、寒がりの人、トイレが近い人、食欲がない人。このタイプの人は体調が悪くなるので飲まないで下さい。



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