2013年11月17日日曜日

冷え性に当帰芍薬散?

今回は女性のための薬ということで広く知られている当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。実際には男性に使う場面もそこそこあるかなと思います。
さて、タイトルに書いた‘冷え性’ですが、エキス剤(錠剤・顆粒)の当帰芍薬散は効きません。当帰芍薬散は冷え性の薬ではありません。
当帰芍薬散の構成生薬は当帰・川芎・芍薬・白朮・茯苓・沢寫です。この中で温性(体を温める性質)があるのは当帰と川芎ですが、エキス剤の場合は修治していない乾燥しただけの当帰を使っています。修治していない当帰はほとんど温性がありません。芍薬は修治して初めて温性になりますので、この芍薬は冷やす性質を持っています。沢寫は寒性の生薬です。
『当帰に関する考察』=秀峰堂中医学研究所別館
『生薬の修治』=秀峰堂中医学研究所別館



では、当帰芍薬散は何の薬かと、一言で言うなら貧血のお薬ということになります。
肝血の不足(肝血虚)の状態になってしまったために肝の機能が異常になり、その影響が隣の臓器の脾に及び、脾の働きの一つでもある水分代謝の異常が一層ひどくなり、むくみ・めまいと言った症状が起きます。
段々と話がややこしくなってきてしまったので、いつものようにOTC薬の効能効果で整理してみます。“体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り”とあります。かなり盛り沢山ですが、効かないわけではないけど効能に書くほどの効果はないだろうというのが大半かと思います。
まず“体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症”この部分は体質に関する前提ですが、ときに以下は治療対象の症状ですので消しちゃったほうが分かりやすいでしょうね。最初の体力虚弱で、冷え症で貧血・・・の貧血も治療対象症状ですから後半に書くべきでしょう。整理すると当帰芍薬散が向いている人の前提は、‘虚弱で冷え性(寒がり)で疲れやすく浮腫みやすい人’です。
治療対象となる症状は貧血がまず第一で、むくみ・めまい・生理痛・生理不順(遅れがちで周期がバラバラな場合)と言ったところに有効です。
他は別の処方を使ったほうが有効でしょうね。
まとめると、当帰芍薬散は“虚弱で冷え性(寒がり)で疲れやすく浮腫みやすい人の貧血・むくみ・めまい・生理痛・生理不順に有効です”
それから、他に体質的に合いそうな処方がなみあたらなければ、耳鳴り・尿量減少・軟便・立ちくらみと言った症状にも効果はあります。
あとは、よく利用されている流産予防に対しては人参を一緒に使ったほうが良いでしょう。不妊・不育に対しては、これだけ飲んでも何ともなりません。
不妊に関しては別の機会に詳しく書くつもりでいます。

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